ケーキハウス・ツマガリ:甲陽園のお菓子工房

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ツマガリ社長について

講演内容

「社長が商品と社員とお客様に愛をもてば、必ず強い会社ができあがります」2005年1月「経営者会報1月号 異能経営者が行く!」より

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会社が大きくなっても、魅力がなくなったら無意味です。そうならないように、時間をかけて骨組みを作って、強靭で細い筋肉を少しずづつけてきた。インターネットはお金をかけずに儲かると思っている人が多いみたいですが、それは違う。人でも考えたら、うちは店舗で売る3倍の経費をかけています。試食用は一番美味しい焼きたてをお送りしていますし。世の中には古いもんから試食させる店もあるようだけど、逆や。
ただであげるのはもったいないくらいのものだからこそ、ただで差し上げる。でないと喜んでいただけない。「儲」という字は「信じる者」と書きます。お客様にファンになっていただいて、ようやく儲けになる。利益と儲けは違うんです。

社員に愛情をもてないなら社長失格

ツマガリは甲陽園界隈に六つの小さな工房をもつ。白衣姿の従業員たちは、その工房と本店の間を頻繁に行き来する。きびきびとしたその様は、見ていて心地よい。どの顔も明るく、弛緩した印象もない。

もし「うちは人が育たない」とこぼす社長がいるとしたら、それはその社長に社員への愛情がないから。社長失格やと思う。経営って、つまるところ愛です。お菓子作りも愛。商品と、お客様に対する愛情。愛がすべてやと思います。いまパートさんを入れて250人いますが、皆、私の可愛い子供です。人は仕組みでは育たない。社長が「お前のことが好きや」ということを示してあげれば育ちます。萎縮さえしなければ、誰だって10の実力が15にも20にも伸びる。私は態度で示します。しょっちゅう握手する。ハイタッチなんかもします(笑)。怒鳴ったりもするけど、愛されているのがわかれば萎縮はしない。ただ、うちで修行している27歳になる倅だけは別です。あえて萎縮させるようなことも言う。そういう勉強も必要ですから。

もちろん、私が体調まで含めて把握できるのはせいぜい15人。その15人がそれぞれしたの15人を見てやればいい。「1人で1万人見てまんのや」って言う経営者もいるかもしれないが、それは嘘やと言いたい。

平成七年の阪神淡路大震災のとき、津曲は店にほど近い自宅で寝ており、異常な揺れと地鳴りで目を覚ました。津曲は「でっかい怪物が家を抱いてぶわんぶわん振り回しているようだった」と語る。

ツマガリ社長

この西宮ではご存知のように、多くの方が亡くなられた。あの恐怖は体験された人にしかわからんでしょう。社員には家が全壊してしまった者が何人かいたけど、幸い皆、無事でした。店の中も滅茶苦茶でしたから、商売にならない。ちょうど焼菓子の在庫が600万円ぶんぐらいあったから、それをトラックに積んで、社員にあちこちの集会所に置いてこさせた。保存がききますから、非常事態に向いていたんです。近場では牛乳なども配りました。震災の一週間後にはもう店を開けて、一人でマイクをもってトラックに乗り込んで、「ツマガリです、営業を再開しました、ぜひお起こしください」と言って回った。あのころ火事場泥棒みたいな輩もおったから、夜になると「火の用心!」と大声で(笑)。1月半ほどですが、少しは治安維持に役立ったかもしれません。

その3ヶ月後、津曲自身も目を疑ったという現象が起こる。突如としてお客様が列をなし、本店に押し寄せたのだ。それは何か月も続いた。「あのときはありがとう、美味しかった」と皆さん口々にお礼を言ってくださる。私たちも涙がでました。別に宣伝するつもりはなかったけど、袋に「ツマガリ」って書いてある(笑)。だからものすごい宣伝になってしまった。それまでこの本店で一日100万円くらいの売上だったのが、250万円くらいになった。そのときから本店の売上はぐっと伸びた。本当にありがたいことです。

津曲を「カリスマパティシェ」と呼ぶ人間は多い。しかし、そう呼ばれることを津曲は極端なほど嫌う。

カリスマなんてとんでもない。「俺の菓子が最高や」と思ったこともない。そう思ったとたんに成長は止まると思う。縁があってお菓子屋になったけど、最初は好きでもなかった。やっているうちにお客様に喜ばれて好きになって、そのうちに愛情が湧いて、いまは、自分で作っていて言うのも変なんやけど、愛を通り越して体の一部になった。自分がお菓子そのものなんです。でも、そうなってこそプロやと思う。仕事が好きだと思っているうちはまだアマチュアです。

私だけじゃなく、うちには何人かプロが育ってきた。そういう人間が何人かおるだけで会社というものは強いんです。

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