ケーキハウス・ツマガリ:甲陽園のお菓子工房

  • カタログご請求
  • メインコンテンツにジャンプする

ツマガリ社長について

講演内容

オンリーワンを目指して-こだわりの経営戦略-「キーワードは人間味〜小さなお店の大きなブランド戦略」神戸市産業振興財団主催講演会

前のページに戻る 3/8 続きを読む

売る気迫

アンテノールの時に、最初に神戸の北野町でやったんですが失敗しました。その後、阪神百貨店の地下に出店しました。原点に帰って良心的なお菓子をつくればいいということで、3,000万円売れる店になったんです。それが売れ出すと東京に行こうということで、僕は行きたくなかったんですが、のんびりしたかったんですが行きました。

銀座の三越に出しました。そのときは大変でした。工場からつくらなければならなかったわけですから。若い者を引き連れて、30歳前でしたから。特攻隊の精神が好きな社長だったんですかね、成功するまでは帰ってくるなと、鉢巻きをして別れの盃を酌み交わして、総務部長が万歳三唱をしました(笑)。

何も用意せずに行くもんですから、何だか少し不安でした。でもそこで、大学を出た連中や頭のいい連中は先を計算しますが、僕はすぐにつくれると簡単に思ってたんで、小さな鞄に着替えを入れて「行ってきます」と。あんまり仰々しくやると失敗しますよ。着の身着のままで行ったらいいんですよ。まず行くことです。そして行って、工場をつくったんです。

でも何か不安になってきた。深川に富岡八幡という相撲の神さんがあるんですが、そこに行って皆で神頼みがしたくなって、毎朝5時に起きて掃除をしようと言うことになりました。関西弁を喋る連中が宮司さんに朝の掃除がしたいと言うと、怪訝な顔をされました。皆で竹箒で掃除を始めましたが1週間でやめました。皆、起きられなくて、1週間でやめました。

一生懸命にやって2週間後に銀座に出店しました。僕らは田舎者ですから、俺たちも銀座の顔になろうと、銀座の洋菓子の店を見て廻って真似をしたんです。銀座界隈の人たちが買いそうな1個800円や600円の洋菓子をつくったんですが売れない。東京は田舎の人の集まりかなと思いましたよ。

売れないもんですから。百貨店の課長が来て、「今日はいくら売れた」と聞くんです。20万円ですと言うと、「たったそれだけか」と。それだけかと言われた時に、「課長ちょっと、今日20万円でしょう。200万円に簡単にできるんです。ただしないだけ」と思わず言ってしまったんです。簡単にできるけど、どういう形でしようかと今、考えているんですよと。

さらに「1週間後には20万円の3倍といきましょう」と。そう課長さんに言った手前、何とかせなあかんなと。そこで考えました。それで「おい明日、エクレアを5,000個焼いてくれんかな」と言ったら、何か注文が入ったんですかと言うから、「いや、入らん」と。工場長が「売れんかったら、どうするんですか」と。「全部、俺が食べるわ」と言うと「分かりました」。それで「みんな持って来い、5,000個みんな持ってこい」と言ったら、そしたら翌日持ってきました。

チーフに「甲斐甲斐しく詰めろ」、ショーケースに全部並べて、「売れんでもいいから並べろ」と。俺がお客を呼び込むから、30人ぐらい並ぶようにするから、女の子には「ありがとうございました」と、のべつ喋ってろと言ったんです。そうすると、端から見ると売れたように見えるから。マイクを使うと周りから苦情がくると言われたんですが、「構うか」と賑やかにやると、お客が並び始めたんです。

その時思いました。「売る気がないから並ばんのや」、「やる気がないから売れんのや」。「売れない」のじゃなくて「売らない」のやと。その日に60万円いきました。そして1年間で10億円売りました。やはり「売る気」ですわ。

渋谷販売合戦

売れるようになると「うちにも出店してもらえんでしょうか」という話がくる。また困るんです。本社の社長がすぐに飛びつくんです。話しが来たときには飛びついたらいかん。あの手この手で必死でやってるのに、直ぐにOK出すんや。「東武百貨店に」と社長が言うから、分かりました、じゃ段取りしましょうかと。

その他に管理部長が、渋谷に東横ののれん街というのがあって、そこでの実演販売を受けたというから、「段取りはできてるの」と聞くと、ショーケースはみんな百貨店から借りて、経費はゼロだと言うんです。ショーケースも借りられるんやったら「そりゃよかったですね」と。

そして行って現場をふと見たら肉のショーケースなんです。電気はぶらさがってる。ステンレスも錆びてる。ステンレスが錆びるというのは、よっぽど塩分にやられてるんですよ。匂いもする、臭い。「ボケ!いくらなんでも肉を売るショーケースが使えるか」と。とうとう僕も頭にきたけれど、気を取り直して、屋上に行ってカッティングテープで補修してから並べたんです。

横には松宮(当時社長)さんのモロゾフ、当時、飛ぶ鳥落とす勢いで行くとこ行くとこ勝ち組。こちらは新参組で名前も売れてない。こちらは5尺のケースをいただいた。向こうは15尺、20尺のケース。こっちはレジもなし。「レジが欲しいのですが」と言うと、モロゾフさんの横のレジを借りなさいと。「どうしてですか」と聞くと、「どうせ売れないやろうから」と。

分かりました。よし何とか頑張らないかんなと、僕も気合が入りました。伝馬船で軍艦をやっつける思いでした。僕が喋りまくって、女の子2人に売らせたんです。

「僕の話を聞いてください。はるばる神戸から来ました」九州弁の神戸弁です。「寝ないでつくったんです。美味しいから、どうぞ味見をしてください」と、客引きをしたんですよ。

最初の日には20万円売りました。次の日が40万円、そして60万円、100万円、最終日が150万円と、全部で530万円売ったんです。

そうするとレジから文句を言ってくるんですね。「レジ係はお宅の社員と違う」と。でも、レジを貰っていないわけですから、百貨店の部長が「そうしろ」と言ったわけですから。人件費が浮きました。

もう一方の側は自由が丘のトップスというお菓子屋さんで小さかったから、反対側のモロゾフの売り場を取り囲んでお客さんを並ばせました。すると「いい加減にしろ」と言ってきたので、「お宅もお客さんを並ばしてくてださい。僕も頑張りますから」と言って、頑張りましょう、一緒に盛り上げようとお客さんを並ばせたんです。

僕の話が面白いから、お客さんが1,000円で「空箱を買う」と言うんです。東京の人はオッチョコチョイやから、「中身はいらないんですか」と言うと、君の話しを聞いただけで空箱を買う、というわけ。とうとう斜め向かいの蒲鉾屋の紀文も気合が入ってきて、3日目から喋りのうまい奴を連れてきた。「紀文の蒲鉾を気分よく買いましょう」と(笑)。

前のページに戻る 3/8 続きを読む

メインコンテンツに戻る