ケーキハウス・ツマガリ:甲陽園のお菓子工房

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ツマガリ社長について

講演内容

「小さくてもキラリと光る店」松宮隆男著「甲陽園」より

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結婚する社員の給料を一度に10万円も上げて、経理に叱られた

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津曲さんは、結婚する社員の給料を一度に10万円上げて、経理を担当する人に叱られたと、笑って話してくれた。長い間労働組合の人々と交渉してきた私にとっては、「ほんまかいなあ」という思い出あった。しかし、よく考えてみると、その社員は若くても相当の能力の持ち主で、結婚を機会に能力相応の給料に上げたのだと思う。
わたしも働く人の論理はよくわかるし、理解もし、給料交渉の場に臨んだ。
しかし、業績の結果を平等に配分する給料交渉は、よい側面もあるが、結果として悪平等につながったのではないかと反省している。
今日では、「ツマガリ」も従業員が増えて、あまり思い切った能力主義をとれなくなってきたかもしれないが、「お客様」に対応する能力を評価することは大切なことである。

※働く人のほんとうの心情は、平等の配分ではなく、能力を評価してほしいというところにある。

男女は均等、そんなことは昔から当たり前のことである

津曲さんは、男とか女とか、若いとか年寄りとかは考えない人である。若い職長を大事にして、女性の営業部長を早くからつくり、「お客様」の“こころ”がわかる人に大胆に任せている。口うるさくて、ケチで成功している経営者もなくはない。しかし人を信用せずに、「女は頼りない、若いヤツは修行が足らん」と決めつけて、一人芝居をしているボスの会社は、大きくなるにしたがって、弱点を広げていくものである。
最近は金融界でも流通の世界でもそうした例が多い。
そう言えば私のボスも、彼がどうであったかは別にして、「人をだますくらいなら、人にだまされるほうがましだ。人は信用しなければ」と言っていたことを思い出した.

※津曲さんは、人を信用して大胆に仕事を任せている。そんな仕事の仕組みが、悪いムダを排除している。

どんどん「ツマガリ」を辞めて自分の店をつくれ

津曲さんの店から独立して、自分の店を持っている人が十数人もいる。「苦労して育ててあげたのに独立されて・・・・」と嘆くのが世間の常である。しかし津曲さんは、「教えたことでたくさんのお客様に喜んでいただけるのはいいことです」と言い、開店の日には自ら部下をたくさん連れて応援に行ってあげている。
技術や配合のコツは下の人にかくして、なかなか教えたがらないのが昔気質の職人さん。そのイメージとはまったく逆の発想である。
私が訪問した時も、工房の中に入れてもらい、隅々まで見せてもらった。
原材料まで具体的に説明してもらった。
腕に自信のある人は心が広くて、「人のためになればいいや」というおおらかさがあるのだ。そして人が好きだから、育てた弟子がほんとうにかわいいのだと思った。

※その温かさ、おおらかさが、店に心地よさをただよわせている。

仕事にはウルサイが、一緒に遊んでくれるゴンタな兄貴

津曲さんは、商品の味覚やお客様への対応に関しては絶対に妥協しないボスである。しかし、それ以外のことは、よくできる素晴らしいアシスタントに任せて、細かいことはいちいち言わないらしい。「ツマガリ」の職長曰く、「社長は仕事の仕方についてはかなりウルサイ人で、とにかく“お客様に喜んでいただく”ということが第一なんですよ。でも、遊ぶ時は“社長”というより“親父”・・・・・というより、まあ悪ガキの兄貴という感じですね」津曲さんは“太っ腹”で“思いやり”があって“暖かい”。特に彼自身の持つ“おおらかさ”は接する人の心を和ませるのである。つまり、成功する人が持つ資質をすべて兼ね備えているのだ。
世の会社というところでは、仕事の基本であるお客様を喜ばせる手法などに気をつかわず「ねばならぬ」「してはいけない」の人間管理を、仕事の本質と勘違いしているエリートが多い。

※私は思うのである。いつまでも津曲さんには、良い兄貴でいてほしいと。

人生の成功、そのカギは夢のある上司にめぐりあうこと

津曲さんは、東京の洋菓子店に勤めた後、現在のエーデルワイス、アンテノール社長の比屋根氏にめぐり逢い、アンテノールで修行を積んだ。情熱的に夢を語り、洋菓子に熱い思いを傾ける比屋根社長に日々教えられた。そのおかげで今日の自分があるのだと何度も話してくれた。
私も比屋根社長とは面識がある。氏は船舶の通信士になって世界を渡る夢を抱き、沖縄から大阪に出てから後、今日のアンテノールという立派な会社を創業された方である。津曲さんはこの夢多き大らかな社長のもとで教えられ、機会を与えられ、そして努力した。その結果として今日の「ツマガリ」があるのだという。
私は四十年間、まさに叱られっぱなしであったが、モロゾフ株式会社の第二代社長・葛野友太郎氏にめぐり逢えたおかげで、楽しい人生を送らせていただいたと感謝している。

※人生でどれだけ夢のある上司にめぐり逢えるか。それが成功の鍵である。

ここまでお読みくださりありがとうございました。
<(_ _)>これにて完結いたしました。

「甲陽園 小さくてもキラリと光る店」より
PHP発行 松宮隆男著

著者紹介
松宮隆男(まつみや・たかお) 昭和26年、関西学院大学文学部を卒業し、モロゾフ株式会社に入社。平成元年、代表取締役社長に就任。平成5年、代表取締役会長、平成9年取締役相談役を経て、平成10年に退任し、同社のコンサルタントに就任、現在に至る。
(財)神戸ファション協会・北野工房のまちづくりアドバイザー、兵庫県生活創造センター神戸委員会メンバー、大手前学園文化栄養学院講師、日本エッセイストクラブ会員。(2000年2月現在)

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