ケーキハウス・ツマガリ:甲陽園のお菓子工房

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ツマガリ社長について

講演内容

「小さくてもキラリと光る店」松宮隆男著「甲陽園」より

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なぜ屋号をケーキハウス「ツマガリ」にしたのか

イメージ写真

津曲さんは、「私が作る洋菓子は、フランスのものでも、スイスのものでも、イタリアのものでもない。私の洋菓子です。だからフランス語もスイス語も使いません」と言い切る。普通、洋菓子店を開店する時には、イメージ戦略としてシャレた横文字の屋号をつけて、フランス菓子とかスイス菓子とか言って特色をつけたいと考える。
また、世間の会社では、コンセプトやデザインポリシーという難しい概念をひねり回す専門家に高い金を払って、魅力のないロゴやレタリング、デザインを採用している例も少なくない。しかし、津曲さんは、「私の菓子は、“津曲孝”がつくる菓子だから、屋号を“ツマガリ”と決めました」と話す。
その顔は自信に満ちている。単純明快でわかりやすいのが津曲流である。

「ツマガリ」という単純明快な名前の洋菓子店は、真っ直ぐに人の心をつかんでいる。

店の都合ではなくお客様の都合で働け

店と工房の間のドアに、あまり上手とは言えない墨文字のなぐり書きの紙が貼ってある。へたではあるが勢いのある字である。経営コンサルタントで汗と埃にまみれて商売をした人は少ない。ペーパー上の理論のみで語る人や、企業に勤めたことがあっても大企業のエリート事務屋だった人も少なくない。つまり、お客様の顔を知らない人が、会社存在の基盤である「お客様の満足」を忘れて、やれ原価低減だ、人件費削減だ、リストラだと指導している。これはすべて、会社の都合、店の都合に合わせたアクションや考え方につながることになる。
世間では、社内の会議の重要テーマが、内部の都合だけを考えたものになっている。お客様の都合で働くのが当たり前の商売の本質を見失っているのである。

津曲さんは焦点をすべて「お客様」に合わせている。その考え方に大賛成の私ですら、「ええかいなあ」と心配するほどである。でも、店は連日賑わっている。

自分が作り笑いをするよりお客様から笑顔をいただきたい

津曲さんは、お客様の笑顔を店の中で見るのが最高の幸せだと言う。
「ツマガリ」はお客様の笑顔いっぱいの店である。
よく販売員教育のトレーナーが、笑顔をつくれと笑顔の練習などをさせたり、朝礼で「いらしゃいませ」と大声で連呼させる社内風景をみたことがある。形から入るのも大切なことかも知れないが、ほんとうは「お客様」の心を理解して接する“こころ”が大切だと言う。どうも20年なら20年生きてきた人の歴史が、その“こころ”をつくるのであり、教育ではつくれないものらしい。
販売する人だけでなく、すべての社員の採用に際しても、採点する試験よりその人がその仕事に対して大好きな“こころ”を持っているかどうかを基準にするほうがよい。
また、お客様の笑顔をつくり出せる技術や感性を持った人を大切にすべきである。

「頭デッカチのエリートに商売はできない」と言い切る津曲さんである。

日曜日にはガードマンが三人お客様の車を整理する

日曜日には狭い店に車や徒歩でのお客様が、あまり幅の広くない道路にあふれる。確かに近所迷惑であると思うし、実際、苦情もでたらしい。 そこで、日曜日には3人のガードマンに、店の前で車の整理をしてもらっているのである。しかし、なぜ便利でもない甲陽園に遠くからお客様がつめかけるのか。同じ洋菓子に携わってきた者としては羨ましくもあり、この風景を前に腕組をして考え込んでしまった。
甲陽園に行かなければ「ツマガリ」の洋菓子は買えない。半生菓子は大丸3店で手に入るものの、生菓子はこの甲陽園本店でしか買えない。
“ここしかない” このキーワードが大切なのである。わたしなら我慢できずに数店の店を開いていたに違いない。

売ることの誘惑に負けず、決して多店舗化しないかたくなな姿勢が、これだけのお客様の足を甲陽園に運ばせる。

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